トヨタ「マークII 3兄弟」が駆け抜けた黄金時代とその現在地

1980年代から2000年代初頭にかけて、日本の道路を鮮やかに彩ったトヨタの「マークII 3兄弟」。マークII、チェイサー、クレスタという、基本プラットフォームを共有しながらも異なる個性を持ったこの3車種は、まさに日本車黄金時代の象徴でした。しかし、最後の3兄弟モデルとなった100系の登場から20年以上が経過した今、これら名車たちは中古車市場で「絶滅寸前」と言われるほど希少な存在となっています。

今回は、なぜこの3兄弟がこれほどまでに愛されたのか、その歴史と現在の衝撃的な市場状況について深掘りします。

目次

1. 三者三様の「エリート」たち:販売チャネルとキャラクターの違い

マークII 3兄弟は、当時のトヨタの販売戦略に合わせて、それぞれ異なるキャラクターが与えられていました。

マークII(長男): トヨペット店で販売され、**「洗練されたアドバンストセダン」**をコンセプトとしていました。3兄弟の中でも最も長い歴史を持ち、王道のエレガントさを追求したモデルです。

チェイサー(次男): トヨタオート店(現ネッツ店)で販売され、**「ダイナミックなスポーツセダン」**として若年層をターゲットにしていました。TRDパーツを装着したモデルや、JTCC(全日本ツーリングカー選手権)への参戦など、スポーティなイメージを牽引しました。

クレスタ(三男): ビスタ店(現ネッツ店)のフラッグシップとして登場し、「気品あるプレステージセダン」サッシュドアのセダンボディを貫き、よりフォーマルで上品な個性を放っていました。

2. ヤマハ発動機が磨き上げた「至高のエンジン」

3兄弟の大きな魅力の一つが、高性能な直列6気筒エンジンです。特にスポーツグレード(ツアラーVやルラーンG)に搭載された**「1JZ-GTE」エンジン**は、当時の自主規制枠いっぱいの280馬力を発生させる伝説的な心臓部でした。

この高性能エンジンの開発・生産には、ヤマハ発動機が深く関わっています。ヤマハはトヨタのエンジンをベースにDOHC化や高性能化を施すエキスパートであり、その技術力はトヨタ2000GTの時代から続く信頼関係に基づいています。この「楽器のように繊細でパワフルなエンジン」こそが、3兄弟を単なる高級車から、走り好きをも魅了する名車へと押し上げたのです。

3. 中古車市場の衝撃的な実態:もはや「投機対象」か?

現在、100系3兄弟の中古車市場は驚くべき状況にあります。

流通量の激減: かつては街に溢れていましたが、現在は3車種合わせても流通台数は極めて少なくなっています。特にクレスタは、掲載台数が20台を下回ることもあるほどの「超絶滅危惧種」です。

価格の高騰: ドリフトユーザーからの根強い支持に加え、近年のネオクラシックカーブームが重なり、価格が跳ね上がっています。特にターボ搭載のMT(マニュアル)モデルは人気が集中しており、フルノーマル車であれば400万円から600万円を超える価格で取引されるケースも珍しくありません。

「載せ替え車」の存在: もともとAT(オートマチック)だった車両にMTを換装した個体も多く流通しており、購入時には作業の信頼性や公認車検の有無を慎重にチェックする必要があります。

まとめ:時代を彩った三つの魂

マークII 3兄弟は、バブル期の「ハイソカーブーム」を牽引したGX71系から、洗練を極めた最終型の100系に至るまで、常に日本人の憧れの中心にありました。実用的なセダンでありながら、中身は本格的なスポーツ性能を秘めているという二面性が、今なお多くのファンを惹きつけて止まない理由です。

——————————————————————————–

(理解を助ける比喩) この3兄弟は、例えるなら**「同じ最高のレシピ(プラットフォームとエンジン)を持ちながら、異なるコンセプトで仕立てられた三つの高級レストラン」**のような存在です。

ある店は洗練されたメインダイニング(マークII)、ある店はエネルギッシュなスポーツバー(チェイサー)、そしてある店は格式高い会員制サロン(クレスタ)。客層は違えど、提供される料理(走り)の質はどれも一級品であり、だからこそ今でも多くの美食家(ファン)が、その味を求めて探し回っているのです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

電子機器の試作会社、老舗出版会社、通信系IT企業を経由して、現在は兼業ブロガー。SDGsに貢献しつつ、生活の中で課題をもって購入した商品のレビュー、プチ旅行の紹介、忘れつつある記憶の記録など、おおむね個人の趣味を綴ったブログにしたいと思います。

コメント

コメントする

目次