なぜ青山学院大学は勝ち続けられるのか?箱根駅伝2026に見る「CHRO型リーダーシップ」と「状態設計」の極意

箱根駅伝2026において、青山学院大学(以下、青学)は再び往路優勝を果たしました。かつては箱根に出場することさえ危うかったチームが、今や「強くて当たり前」の絶対王者として君臨しています,。この驚異的な強さの背景にあるのは、根性論や単なる才能の集掘ではなく、「再現性のあるチームづくり」という名の高度な組織マネジメントです,。

目次

1. 監督ではなく「CHRO」としての原晋

原晋監督のマネジメントを読み解くキーワードは、**「CHRO(最高人事責任者)」です,。原監督が実践しているのは、単なる競技の戦術指導ではなく、「人材戦略・人材開発・組織設計」**のすべてを統合した経営シミュレーションに近いものです。

多くのチームが「速い選手を並べる」という短期的な視点に陥る中、原監督は選手の**「伸び代」を見極めるポテンシャル採用と、を重視しています。象徴的なのは、2026年大会の黒田朝日選手の5区配置です。これは単なる区間配置ではなく、自己マネジメントを完成させた選手に対する「人材開発の最終試験」**であり、組織の未来を一段引き上げるための戦略的投資でした,。

2. 「ピークステイト」を支配する状態マネジメント

青学が他校を圧倒する理由の一つに、「状態マネジメント」「当日のピークステイト(最高状態)」をチーム全体で同期させることを最重要KPIとしています。

この設計において、余計な練習や管理を「削る」ことで現場のパフォーマンスを最適化する手法は、まさに企業の組織運営にも通じるものです。結果として、復路の選手たちがプレッシャーを感じさせない**「ピクニックラン」**のような軽やかさを見せるのは、役割が明確化され、プロセスに集中できる「状態」が事前に設計されているからに他なりません,。

3. 科学的根拠に基づいたフィジカル改革

組織文化だけでなく、肉体的な「仕組み」も科学的に進化しています。2014年からフィジカル強化を担当する中野ジェームズ修一氏の貢献は多大です。特に近年の「厚底シューズ」の普及に伴い、青学はトレーニング方法を根本からアップデートしました。

以前の長距離選手は、膝から下の筋肉を酷使して「蹴り上げる」走法が主流でしたが、厚底シューズではプレートを**「押さえ込む」力が必要となります。これに対応するため、青学は従来のインナーユニット(深層筋)強化に加え、アウターユニット(表層筋)を鍛えるウエイトトレーニングや、全身を連動させるコーディネーション系トレーニングを導入し、「厚底仕様の肉体」**を3年がかりで完成させたのです,。

4. 自律性を育む「行動変容」の仕組み

中野氏の指導や原監督の「ワクワク大作戦」に共通するのは、選手に「考えさせる」ことをやめさせない姿勢です,。中野氏が重視する「行動変容の5ステージ」や「モチベーション理論(動因と誘因)」は、選手自らが意思決定し、納得して行動するための手助けとなります,。

「なぜこの練習が必要なのか」を言語化し、選手が自分の強みを理解して自己管理できるようになると、チームは誰か一人に依存しない強さを手に入れます,。青学の強さは、「個人の自律」と「組織の設計」が見事に噛み合った結果なのです。

5. 結論:勝ち続ける組織の条件

青学の箱根駅伝2026での勝利は、決して奇跡ではありません。それは、**「人の状態を経営する」**という明確な意志に基づいた構造の勝利です。 ・目標を数値化・言語化し、勝ち方を仕組み化する ・個々の選手のピークと役割を緻密に設計する, ・科学的根拠に基づき、環境の変化(シューズ等)に柔軟に対応する

これらの要素が組み合わさることで、世代が交代しても安定して結果を出し続ける「常勝軍団」が維持されています,。

青山学院大学の組織づくりは、高度に設計された**「建築物」**のようです。頑丈な基礎(フィジカルと科学的根拠)の上に、機能的な柱(自律した選手と役割設計)が立ち、それらが緻密な設計図(CHRO的マネジメント)によって統合されています。だからこそ、どんな強風(アクシデントやプレッシャー)が吹いても、その建物が揺らぐことはなく、常に最高の景色を住人(選手)に見せてくれるのです。

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この記事を書いた人

電子機器の試作会社、老舗出版会社、通信系IT企業を経由して、現在は兼業ブロガー。SDGsに貢献しつつ、生活の中で課題をもって購入した商品のレビュー、プチ旅行の紹介、忘れつつある記憶の記録など、おおむね個人の趣味を綴ったブログにしたいと思います。

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