防波堤や磯から狙える銀鱗の王者、クロダイ(チヌ)。その強烈な引きと、知恵比べのような繊細な駆け引きは多くの釣り人を魅了してやみません。今回は、クロダイ釣りの主流である「ウキフカセ釣り」について、春の乗っ込みシーズンから冬の寒チヌ攻略、さらに釣果を伸ばすための撒き餌(コマセ)ワークや最新のテクニック、そして釣った後の楽しみである料理法までを網羅的に解説します。
1. 季節を知る:乗っ込みと寒チヌの攻略法
クロダイ釣りにおいて最も重要なのは、季節に応じた行動パターンを理解することです。
春の「乗っ込み」は潮位を読む 春は産卵のためにクロダイが浅場に入ってくる「乗っ込み」と呼ばれるシーズンで、大型が狙えるビッグイベントです。この時期、特に遠浅な釣り場では「潮読み」が重要になります。例えば大潮の夕マヅメに満潮が重なるタイミングは、魚が警戒心を解いて活性が高くなり、水深1mほどの浅場でも大釣りが期待できます。逆に干潮時には、普段は水没している低い磯や沖のポイントへ入釣し、沖へ払い出す潮に乗せて広範囲を探るのがセオリーです。
冬の「寒チヌ」は底を釣る 一方、水温が下がる厳寒期は、クロダイの動きが緩慢になり、海底付近でじっとしていることが多くなります。この時期は「底取り」が命です。ゴム管付きの中通しオモリなどを使用して正確な水深を測り、サシエサを底に這わせる「ハワセ釣り」が有効になります。流れがある場合でも、仕掛けを底に安定させることで、食い渋るチヌの口を使わせることができます。
2. 釣果を分ける「撒き餌(コマセ)」の配合術
フカセ釣りにおいて、魚を寄せる撒き餌(コマセ)は釣果の鍵を握ります。チヌ用の撒き餌は、上層を意識するグレ(メジナ)用とは全く異なる特性が求められます。
「比重」と「粘り」がキモ クロダイは底でエサを捕食する習性があるため、撒き餌は「高比重」で「粘り」があるものが適しています。海面で拡散させてしまうと底にポイントを作りにくくなるため、ダンゴ状で海底まで届き、底で効くように配合します。
配合の黄金比と作り方 基本的なレシピとしては、生オキアミに配合エサ、そして集魚力を高めるサナギ粉やコーン、押し麦などを混ぜ合わせます。プロの配合例では、オキアミ3kgに対して配合材2〜4袋程度を目安にし、粘りを出すためにしっかりと練り込むことが重要です。また、オキアミは潰さずに原型を残すことで、海中でのアピール力が高まり、サシエサとの同調もしやすくなります。水分調整は慎重に行い、少しずつ水を足しながら、遠投ができる硬さに仕上げましょう。
3. 実践テクニック:沈め釣りとウキの使い分け
状況に応じた仕掛けの選択も重要です。近年注目されている「沈め釣り」や、ウキの種類によるメリットを理解しましょう。
風と波に強い「沈め釣り」 「沈め釣り」とは、マイナス浮力のウキ(00や0Cなど)を使い、ウキごと仕掛けを海中に沈めていく釣法です。 この釣法の最大のメリットは、風や表層流の影響を受けにくいことです。ウキを浮かせる釣りでは、風でウキが流されて仕掛けがポイントから外れてしまうことがありますが、沈め釣りなら仕掛け全体が潮に乗ってコマセと同調しやすくなります。アタリはウキの沈み込みではなく、道糸の張りや手元の感触で取るため、ラインメンディング(糸の操作)技術が向上すれば、表層から深場まで全層を探れる強力な武器になります。
棒ウキ vs 円錐ウキ ウキの形状にもそれぞれ長所があります。
• 棒ウキ: 感度が抜群に良く、小さなアタリも明確に出ます。また、トップが水面上に出ているため視認性が高く、スパッ!と消し込むアタリは爽快です。
• 円錐ウキ: 糸絡みが少なく、風や波がある状況でも安定しています。仕掛けを沈めながら探る釣りにも適しています。
4. 釣った後も最高に楽しむ:クロダイの絶品料理
「クロダイは臭みがあるのでは?」と敬遠されることもありますが、適切な下処理を行えば真鯛にも負けない高級魚に化けます。
下処理のポイント 釣った直後の「血抜き」が最も重要です。エラを切って海中で振るなどして血を出し、可能であれば神経締めをして氷水で冷やし込みます。帰宅後はすぐに内臓とウロコを取り、特にお腹の中の黒い膜や血合いをきれいに洗い流し、水分を拭き取ることで臭みの原因を排除できます。
おすすめレシピ:皮霜造り(湯引き) クロダイの旨味は皮と身の間の脂にあります。皮を引かずに熱湯をかけ、すぐに氷水で冷やす「皮霜造り」にすることで、皮のコリコリとした食感と脂の甘みを同時に楽しめます。他にも、カルパッチョや塩焼き、アラを使った酒蒸しなど、余すことなく味わい尽くすことができます。
まとめ
クロダイ釣りは、潮を読み、エサを調整し、繊細な仕掛けでアプローチする奥深い釣りです。しかし、基本となる「底を意識すること」や「適切な撒き餌作り」を押さえれば、初心者でも十分に銀鱗を手にすることができます。 今回ご紹介した「沈め釣り」などのテクニックや、釣った後の料理法も参考に、ぜひ次の休日はクロダイ釣りに挑戦してみてください。強烈な引きと、その後の美味しい食卓があなたを待っています。
——————————————————————————–
参考文献 つり人編集部. (2022). 【クロダイ】 潮位を読むと見えてくる!? 乗っ込みシーズン勝利の方程式. いそぎんぽ. (2025). 【初心者必見!】沈め釣りってどんな釣り?沈め探り釣りのメリットや沈め釣り仕掛けを徹底解説. 釣らせ名人 浜市公式チャンネル. (n.d.). 【撒き餌作りの極意】 チヌ狙いのための撒き餌の配合. いそぎんぽ. (2025). 【絶品】黒鯛(チヌ)が劇的に美味しくなる!プロの食べ方5選と下処理. つり人編集部. (2025). チヌとグレのフカセ用撒き餌レシピの考え方. TSURINEWS編集部. (2020). チヌフカセ釣りの『棒ウキ』&『円錐ウキ』解説. TSURINEWS編集部. (2021). 堤防から狙うクロダイフカセ釣り入門解説. WEBマガジン HEAT. (2023). 波止の寒チヌ釣りのツボ教えます! 「フカセ仕掛のタナ設定法」.

コメント