AMD、Steam CPUシェアで41%超えの歴史的躍進。王者Intelはなぜゲーマーの支持を失いつつあるのか?

はじめに:PCゲーミング市場の覇権交代

長年にわたりPC CPU市場の絶対的な王者として君臨してきたIntelの足元が、今、激しく揺らいでいます。2025年9月にValveが公開した「Steamハードウェア&ソフトウェア調査」の結果は、業界に衝撃を与えました。AMDのCPUシェアが41%の大台を突破し、対するIntelは60%を割り込んで約58%台まで後退したのです。

わずか5年前の2020年時点では、Intelのシェアは81%に達し、AMDは20%にも満たない存在でした。この劇的な変化は、単なる一時的な流行ではなく、PCゲーミングの歴史における巨大なパワーバランスの変容を物語っています。

信頼を揺るがしたIntelの「Vminシフト問題」

Intelがゲーマーの支持を失った最大の要因の一つとして挙げられるのが、第13世代および第14世代(Raptor Lake)で発生した**「Vminシフト問題」**です。

この不具合は、高い負荷がかかった際に急激な電圧上昇(スパイク)が発生し、CPUチップが物理的に修復不可能なダメージを受けるという深刻なものです。Unreal Engineベースのゲームがクラッシュし、「ビデオメモリ不足」という誤ったエラーが表示されるなど、本来「最強」であるはずのハイエンドPCが不安定になる事態を招きました。Intelは最終的に修正パッチや保証延長を発表しましたが、**「物理的に劣化したCPUはパッチでは直らない」**という残酷な現実に、多くのユーザーが失望しました。

期待を裏切った最新世代「Arrow Lake」

失地回復を狙って投入された最新の「Arrow Lake」CPUも、ゲーマーの期待に十分応えることはできませんでした。消費電力や発熱の低減、コンテンツ制作性能の向上は見られたものの、肝心のゲーミング性能において前世代のRaptor Lakeを明確に上回ることができず、状況によっては旧世代に劣るケースすら報告されています。これにより、ゲーマーが最新のIntelプラットフォームへ投資する動機が薄れてしまったのです。

AMD勝利の方程式:3D V-Cacheと信頼のプラットフォーム

対照的に、AMDはゲーマーのニーズを的確に捉えた戦略で躍進を続けています。その核となるのが**「3D V-Cache」技術**です。

CPU上に大容量のL3キャッシュを垂直に積層するこの技術は、ゲーム性能を飛躍的に高め、「Ryzen 7 9800X3D」などのモデルは**「最高のゲーミングプロセッサー」**としての評価を不動のものにしました。

さらに、AMDの強みは「ユーザーへの誠実さ」にもあります。Intelが世代交代のたびに新しいマザーボードへの買い替えを強いる傾向があるのに対し、AMDはCPUソケット(AM4やAM5)の互換性を長期間維持しています。例えば、2018年に安価なAM4マザーボードを購入したユーザーが、2025年になっても最新の高性能CPUにアップグレードできるといった「高いコストパフォーマンス」と「将来への安心感」が、賢いゲーマーたちの心を掴んでいます。

未来の展望:2026年に訪れる「革命」

現在の市場トレンドがこのまま継続すれば、2026年中にはSteamにおけるCPUシェアでAMDがIntelを抜き去るという、歴史的な覇権交代が現実味を帯びています。

Intelが依然として50%以上のシェアを維持しているのは、過去に購入された膨大な「レガシーユーザー」に支えられている側面が強く、新規購入やアップグレードを検討する層ではすでにAMDが圧倒的な支持を得ているからです。

もちろん、Intelが次世代の「Nova Lake」などで技術的なブレークスルーを果たし、逆転する可能性もゼロではありません。しかし、一度失われたブランドイメージを取り戻すには、相当な努力が必要となるでしょう。

結論

ムーアの法則やデナード・スケーリングといった半導体の基本原則が物理的な限界に直面する中、AMDが示した「3D V-Cache」や「チップレット(MCM)パッケージング」といったアーキテクチャの革新は、まさに新時代の解と言えます。

この激しい競争は、最終的に私たちユーザーに「より高性能で、より適正な価格の製品」という恩恵をもたらします。歴史的な瞬間を目の当たりにしている今、私たちは今後の展開を注視していく必要があるでしょう。

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この記事を書いた人

電子機器の試作会社、老舗出版会社、通信系IT企業を経由して、現在は兼業ブロガー。SDGsに貢献しつつ、生活の中で課題をもって購入した商品のレビュー、プチ旅行の紹介、忘れつつある記憶の記録など、おおむね個人の趣味を綴ったブログにしたいと思います。

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