自転車を取り巻く交通事故情勢は年々厳しさを増しており、全交通事故に占める自転車関連事故の割合は増加傾向にあります。こうした背景を受け、道路交通法が改正され、2026年(令和8年)4月1日から自転車の交通違反に対して「交通反則通告制度(いわゆる青切符)」が導入されることになりました。今回の改正により、自転車利用者のルール遵守意識を高め、交通事故の抑止を図ることが期待されています。
1. なぜ「16歳以上」が対象なのか?
新制度の大きな特徴は、青切符の対象を「16歳以上の者」に限定している点です。これには明確な理由が二つあります。
第一に、「義務教育卒業程度」の知識基準です。16歳以上であれば、義務教育を通じて交通ルールに関する最低限の知識を習得しているとみなされ、画一的な反則金処理を行う制度に馴染むと説明されています。
第二に、他の運転免許制度との整合性です。原動機付自転車(原付)などの免許取得が可能になる年齢が16歳であるため、それと足並みを揃えたという側面があります。
なお、14歳未満は「刑事未成年」であり刑事罰が科されないため、そもそも制度の対象外です。制度の“溝”にあたる14歳から15歳の未成年については、当面は検挙せず、指導警告や教育の充実に注力する運用がなされる見込みです。
2. 主な違反行為と反則金の目安
青切符の対象となる違反(反則行為)は113種類以上にのぼります。反則金の額は原付バイクの基準をベースに設定されており、以下のような金額が予定されています。
• 携帯電話使用等(保持):約12,000円。これは今回の自転車向け反則金の中で最高額です。
• 信号無視、逆走(通行区分違反)、指定場所一時不停止:約6,000円。
• 歩道での徐行違反、傘差し運転、イヤホン使用:約5,000円。
• 二人乗り、並進禁止違反:約3,000円。
反則金を任意の期間内に納付すれば、刑事手続に進むことなく事件は終結し、前科もつきません。しかし、期限内に納付しない場合は刑事手続に移行し、起訴されて有罪となれば罰金刑(前科)となる可能性があります。
3. 「指導警告」と「検挙」の分かれ道
青切符が導入されたからといって、すべての違反がいきなり検挙されるわけではありません。警察の取り締まりの基本は、これまで通り**「現場での指導警告」**です。
検挙(青切符の交付)の対象となるのは、交通事故に直結するような「悪質・危険な違反」をした場合に限られます。具体的には、警察官の警告に従わずに違反を継続した場合や、歩行者に急ブレーキをかけさせるなどの具体的な危険を生じさせた場合が該当します。
一方で、酒酔い運転や酒気帯び運転、妨害運転(あおり運転)などの重大な違反については、青切符ではなく、これまで通り「赤切符」が切られ、刑事罰の対象となります。
4. 自転車安全利用五則を守ることの重要性
交通事故を未然に防ぐためには、基本的な交通ルールである**「自転車安全利用五則」**を徹底することが何より大切です。
1. 車道が原則、左側を通行。歩道は例外、歩行者を優先: 自転車は軽車両であり、道路の左側端に寄って通行しなければなりません。
2. 交差点では信号と一時停止を守って、安全確認: 自転車と自動車の事故の8割以上が交差点で発生しています。
3. 夜間はライトを点灯: 無灯火は自分が見えにくいだけでなく、周囲からも発見されにくくなり非常に危険です。
4. 飲酒運転は禁止: 自転車も飲酒運転は厳禁であり、重い罰則が科されます。
5. ヘルメットを着用: 死亡事故の多くは頭部の負傷が原因です。着用は努力義務ですが、命を守るために不可欠です。
5. まとめとこれからの備え
自転車の青切符制度は、決して「罰金を徴収すること」が目的ではなく、**「ルールを守って事故を減らすこと」**が真の目的です。2026年4月の施行に向けて、私たちは今一度自分の運転を見直す必要があります。
特に通勤や通学で毎日自転車を利用する方は、知らず知らずのうちに「ながらスマホ」や「一時不停止」をしていないか確認してください。また、事業者の方は、従業員に対して新ルールの周知徹底を行い、焦りや急ぎが生じないようなスケジュール管理を推奨することが求められます。
自転車は便利で環境に優しい乗り物ですが、一歩間違えれば凶器にもなり得ます。新しい制度を正しく理解し、歩行者や他の車両と思いやりのある道路共有を心がけましょう。

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