HF帯の王道!逆V型ダイポールアンテナをマスターして国内通信・DXを遊び尽くす

アマチュア無線を始めたばかりの方から、移動運用を楽しむベテランまで、多くのハムに愛されているのが**逆V型ダイポールアンテナ(インバーテッドV、略してIVアンテナ)**です。構造がシンプルでありながら非常に奥が深く、正しく理解して設営すれば、限られたパワーでも驚くほど遠くまで電波を飛ばすことができます。

本記事では、提供された資料に基づき、逆V型アンテナの理論から自作、そして確実にSWRを下げる調整法までを詳しく解説します。

1. なぜ「逆V型」なのか?その構造とメリット

ダイポールアンテナは、給電点を中心に左右対称に2本のエレメントを張るのが基本です。これを地面に対して平行に張ると「水平ダイポール」になりますが、これには2本の高い支柱(木やポール)が必要です。

一方、逆V型アンテナは、中央の給電部を1本のポールで支え、エレメントを斜めに下ろして設営します。この形状には、設営の簡便さ以外にも大きな電気的メリットがあります。 水平ダイポールの場合、エレメントを一直線(内角180度)に張るとインピーダンスは約73Ωになりますが、内角を約120度に曲げることで、無線機や同軸ケーブルの標準である50Ωに近づけることができ、マッチングが容易になります

2. 地上高と通信性能の意外な関係

アンテナの高さについては、運用目的によって考え方を変える必要があります。

国内通信(NVIS運用): 7MHz帯などで国内をメインに楽しむ場合、実はアンテナは高すぎないほうが有利なことがあります。地上高を下げると、電波が真上方向に放射される「NVIS(垂直入射電離層波)」効果が高まり、日本全国に強く届くようになります。資料によれば、地上高7m程度の逆Vアンテナは、垂直系アンテナよりも国内信号が最大20dB〜30dBも強く届くという実験結果もあります。

海外通信(DX運用): 海外を目指す場合は、打ち上げ角を下げる必要があるため、できるだけ高い位置に設置することが推奨されます。理想的には半波長(7MHzなら約20m)、少なくとも1/4波長の高さが欲しいところです。

カメラの三脚などで2メートル程度の高さに設置しても、ある程度の交信は可能ですが、本来の性能を発揮させるには、グラスファイバー製の伸縮ポールなどを用いて、給電点をできるだけ高く上げることが成功の鍵です。

3. 実践!逆Vアンテナの自作と材料

自作に必要な主な材料は以下の通りです。

エレメント: 1.25SQ程度のビニル被覆電線。7MHzなら片側約10m強用意します。

バラン: 平衡-不平衡変換を行うために1:1バランを必ず使用しましょう。これを省略すると同軸ケーブルの表面に高周波が流れ、インターフェアの原因になります。

ポールとロープ: 給電点を支えるマストと、エレメント端を固定する絶縁体のロープ(パラコードなど)。

4. 失敗しないSWR調整のテクニック

アンテナを張っただけでは、SWRが下がらないことが多々あります。周囲の影響により、計算上の長さと実際の共振長さは異なるからです。

エレメントカット: 最初はエレメントを少し長めに切り出し、SWRを測定しながら10cmずつ左右均等にカットしていくのが定石です。

角度調整: インピーダンスが50Ωより高い場合は、エレメントの角度をより鋭角にすることで、インピーダンスを下げることができます。

オフセンター給電: どうしてもインピーダンスが低い場合は、給電点をあえて中心からずらす(片方を長く、片方を短くする)ことで調整する手法もあります。

5. 安全への配慮:先端は「高電圧」

運用中に最も注意すべきは、エレメントの先端です。送信中、エレメントの中央部には大きな電流が流れますが、両端には数千ボルトに達する非常に高い電圧が発生します。人が触れると危険なだけでなく、スパークの原因にもなります。エレメント端は必ず人の手が届かない高さに設置し、絶縁体を介して固定してください。

まとめ

逆V型アンテナは、ポール1本で設営できる手軽さと、角度調整によるマッチングのしやすさを兼ね備えた、非常に合理的なアンテナです。まずは7MHz帯などのフルサイズアンテナから挑戦し、ゆくゆくはトラップを用いたマルチバンド化や、より利得の高いデルタループへとステップアップしていくのも楽しいでしょう。

アンテナは、いわば無線機の「目」であり「口」です。自分で試行錯誤して調整したアンテナで、ノイズの少ないクリアな信号を受け、遠くの局と繋がった時の感動は、既製品では味わえない格別なものになるはずです。

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この記事を書いた人

電子機器の試作会社、老舗出版会社、通信系IT企業を経由して、現在は兼業ブロガー。SDGsに貢献しつつ、生活の中で課題をもって購入した商品のレビュー、プチ旅行の紹介、忘れつつある記憶の記録など、おおむね個人の趣味を綴ったブログにしたいと思います。

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